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朝起きたら、いつもより少し寒かった、
お仏壇にお供えものの柿が置いてあった。
「おばあちゃんの匂いだ」
畳とお線香の匂いだって前におばあちゃんが教えてくれた。
「もうおばあちゃん家に着いたんだ」
お母さんもお父さんもこのお部屋には居なかった。
ふすまを開けると長い廊下があるんだ、廊下のとなりはすぐお庭、柿の木がいっぱい実をつけてた、つきあたりがテレビのあるお部屋だ、僕知ってる。
「あ、お母さん、お父さん、おはよう」
そのお部屋には、親戚のおじさんも、おばさんもいた。
「ひろき、おはよう、良く寝ていたね、寒くなかった?」
お母さんがにっこり笑って抱きしめてくれた。
「おはよう、ひろき君、大きくなったな」
「うん、おはようございます」
「まぁ、立派になって」
親戚のおじさん、おばさん、だけじゃなく知らないおじさん、おばさんもいる、でも僕のことは知ってるみたい。
「何歳になったと」
「8歳です」
お母さんも知ってるみたい。
「御無沙汰しております」
お父さんも知ってるみたい。
今日はこんなに大人が集まって、いったいなにがあるんだろう、
それになんで、皆、真っ黒の服を着てるんだろう。
「あ、おばあちゃんは」
僕は、ふと気がついた、おばあちゃんがいない、いつも朝はテレビの前の座椅子にちょこんと座ってお茶を飲んだりしてるのに、こんなに親戚が集まってるのに、なんでおばあちゃんだけいないんだろ、お買い物かな、それともお散歩かな、僕は不思議に思った。
「ひろき」
お母さんはなんか言おうとして、泣き出しちゃった、僕、なんか変なこと言ったかな。
「よく聞くんだ、おばあちゃんな、死んじゃったんだ」
お父さんが言った言葉に僕はびっくりした。
「えっ」
「ほら、おいで」
僕はお父さんに連れられて、となりの部屋に行った。
ふすまを開けると、そこにはおばあちゃんが寝ていた。
死んじゃったって言ったけど、血も出てないみたいだし、僕は寝てるだけだと思った、お父さんもお母さんも起こしてあげればいいのに、僕は不思議に思った。
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