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朝ごはんを食べても、お父さんとお母さんは出掛けるそぶりもなく、忙しそうにしていたから僕は、なにも言えなくて、長い廊下からお庭を眺めていたんだ。
柿の木の向こうに、お稲荷さんの小さな家があるんだ、そのもっと向こうは、
うわあ、お山が燃えてるみたいに真っ赤にそまってる、僕知ってる、紅葉って言うんだ、それもおばあちゃんから教わった。
「あっそうだ!」
僕はいいこと思いついた、紅葉をおばあちゃんに見せてあげよう、お山まで行って、紅葉を取ってきてあげよう、僕はお父さんの真似して手のひらをこぶしでポンッと叩いた。
「今日も一日よろしくお願いいたします」
お山に入る前は、そう言って手を合わせて、お稲荷さんに挨拶をするんだ、これもおばあちゃんに教わった。
「よし、これで大丈夫だ」
僕はさっそうと山道を上っていった。
木々の間の青空をちぎれた雲が渡ってた。
今頃、僕の学校では運動会をやってるのかな、僕も活躍したかったな、と思ったら、僕はなんだか寂しくなってきた。
だんだん疲れてきて僕はトボトボと歩いていた、すると背の高い木々が無くなって、となりのお山が良く見える場所に出たんだ。
「あ、ここ知ってる、おばあちゃんと前に来た場所だ」
僕はおばあちゃんに会いたくなった。
だから帰ることにした、もうおばあちゃんも起きてるかもしれないし、また一緒に来ればいい、そうだお父さんとお母さんも誘って皆で来よう、きっと楽しいと僕は思った。
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