紅葉の学校

4/18
前へ
/18ページ
次へ
朝ごはんを食べても、お父さんとお母さんは出掛けるそぶりもなく、忙しそうにしていたから僕は、なにも言えなくて、長い廊下からお庭を眺めていたんだ。 柿の木の向こうに、お稲荷さんの小さな家があるんだ、そのもっと向こうは、 うわあ、お山が燃えてるみたいに真っ赤にそまってる、僕知ってる、紅葉って言うんだ、それもおばあちゃんから教わった。 「あっそうだ!」 僕はいいこと思いついた、紅葉をおばあちゃんに見せてあげよう、お山まで行って、紅葉を取ってきてあげよう、僕はお父さんの真似して手のひらをこぶしでポンッと叩いた。 「今日も一日よろしくお願いいたします」 お山に入る前は、そう言って手を合わせて、お稲荷さんに挨拶をするんだ、これもおばあちゃんに教わった。 「よし、これで大丈夫だ」 僕はさっそうと山道を上っていった。 木々の間の青空をちぎれた雲が渡ってた。 今頃、僕の学校では運動会をやってるのかな、僕も活躍したかったな、と思ったら、僕はなんだか寂しくなってきた。 だんだん疲れてきて僕はトボトボと歩いていた、すると背の高い木々が無くなって、となりのお山が良く見える場所に出たんだ。 「あ、ここ知ってる、おばあちゃんと前に来た場所だ」 僕はおばあちゃんに会いたくなった。 だから帰ることにした、もうおばあちゃんも起きてるかもしれないし、また一緒に来ればいい、そうだお父さんとお母さんも誘って皆で来よう、きっと楽しいと僕は思った。
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加