3人が本棚に入れています
本棚に追加
「ひろきの事はさくらから聞いたのさ」
カエデはえっへんと、胸を張って言った。
「サクラ?」
誰だろう、クラスの友達にさくらちゃんているけど、あまり仲良くないけど。
「もう、学校にきてるよ」
え、そう言われて校舎の中を見ると、女の子がかけよってきた。
「ひろき」
女の子は嬉しそうに満面の笑みで、僕の名前を呼んで両手をにぎった、でも僕はまったく知らない、でもでも、あれ?この匂い。
「ひろき、会いたかったよ、一人で良く来たね」
女の子が僕を抱きしめてくれると、僕は気付いた。
「お、おばあちゃん?」
「うん、おばあちゃんだよ」
女の子の姿をしたおばあちゃんは目から涙を溢してそう言った。
おばあちゃんの匂いで間違いないけど、どうして女の子なの?僕の疑問におばあちゃんは優しく答えてくれた。
「おばあちゃん、死んじゃったでしょ、そしたら、天使さまが表れて、お願い事を叶えてくれたのよ」
「お願い事」
僕は、おばあちゃんが女の子になった事も、天使さまの事も、死んじゃった事ですらよく分からなかったけど。
「うん、ひろきと一緒に遊びたいって願ったの」
「そうなんだ、僕もおばあちゃんと一緒に遊びたい」
僕とおばあちゃんは手を取り合って、その場でとび跳ねた。
『ピンポンパンポーン』
突然、学校放送が流れ出した。
「よし、始まったぞ」
カエデが待ってましたと、自分の手のひらを拳でパンチした。
『本日お集まりの生徒の皆様にお知らせします、これより運動会が開催されます、校舎内にいる生徒は至急校庭にお集まり下さい』
最初のコメントを投稿しよう!