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それから、制服だ。
お互い制服を着るのは初めてのはずなのに、あいつはちゃんと着こなしていた。スカートが短くて、目のやり場に困った。
僕があいつを少し離れた場所から見ていると、あいつも僕に気づいたようで、数年のブランクなんかなかったかのように声をかけてきた。
何を話したかは思い出せない。話の内容よりもあいつの変わりようの方が衝撃的だったから。でも、それがきっかけでまた少しずつ距離が縮まりつつある。
昔みたいに戻れたらいいな。
そう思っていたはずなのに。
昔みたいには戻れない。
気づけば僕は、あいつに恋をしていた。
悪友がただ一つの知識を頼りに放った言葉に対し、僕は言ってなかったっけ? なんて自問していた。
うん、言ってない。誰にも言ってない。
僕がだんまりを決め込んでいると、悪友は、「あれ、義文さ、沢野のこと何とも思ってないって言ってなかったっけ?」と訊ねてきた。
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