0人が本棚に入れています
本棚に追加
少女はいつも通り、起伏のない声で呟くように答える。
「……メイは、大丈夫なの? 暑さ」
「んー。私、光に照らされないじゃないですか。陽射しのキツさとか、あんまり感じられなくて。まあ、外気は普通に感じられるんで、暑いことには暑いですけど」
「……今まで暑い国はあったけど、ここは、異常」
陽射しが燦々と降り注ぐ。熱気は上からも、そして下からも立ち込めていて、少し歩くだけで体温が上昇してしまう。何処かから虫らしき鳴き声が聞こえ、長く遠く、独特のリズムで音色を響かせていた。
「さあ早く行きましょうよ。こんなところで立ち止まってても、誰も助けてくれませんし」
ほら、近くに灯かりも見えますよ、と。何故か昼間なのに灯かりが漏れる集落を指差して、メイと呼ばれた少女が言う。
どこまでも快活なその声に、トウは気だるげに足取り重く、溜め息と共に歩み始めた。
続きは本誌で!
最初のコメントを投稿しよう!