均衡と…

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幼い頃のように ーーーただ想いを紡ぐ この胸にある気持ちを どうやって伝えたらいいんだろう… でも、こうする以外に 伝え方がわからない… 蒼ちゃんが好き… 大好き…すごく大切…なのーーー… あたしが見つめていると 三神蒼志は瞳を大きく揺らして また真顔で固まってしまい… 首を傾げたあたしを凝視して 彼は顔を一瞬だけ逸らした後に… 『…無自覚って…コワ……』 小さく呟いたかと思ったら 何故か呆れたように大きく溜息を吐いた あたしが“好き”と伝えるのも こうして抱き付くのも いつもと変わらないのに… 今日の蒼ちゃん… どうしたんだろう…? 『…蒼ちゃん…?』 呼び掛けると彼は顔を戻して あたしに眼差しを和らげる… 『永遠子が昔と 変わってないのが嬉しいな、って…』 『え…?昔と…?』 あたしが瞬きをすると 三神蒼志はクスッと笑って… 『14歳から16歳までの3回分… やっと歳取れたなーと思っただけ』 ーーーあ… そうだ、蒼ちゃんは… “永遠子におめでとう、って言われないと 俺は誕生日を迎えられないんだ…” 4年前の誕生日に彼が告げた言葉が 懐かしさと共にあたしの中に響き渡った ・
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