四季の神〈秋の始まり〉

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「やっと、私の出番だね」  周囲を彩る紅葉を、うっとりとした表情で見つめている少女が一人。 「アキ。あまり、はしゃぎ過ぎるなよ」  そして、少女の背後に佇む、少年が一人。 「フユに言われなくても、わかってるよ」 「で、使い魔の姿は決めたのか?」 「うん。これにした」  少年の問いかけに頷いた少女の手が光を帯びる。光はゆっくりと形を成していくと、その輪郭を一匹の犬へと変化させる。 「まあ、頑張れよ。多少の失敗なら、後で俺がカバーしてやるからさ」 「見てなさい。秋のお役目を立派に果たして、フユの引き継ぎを楽にしてやるわ」 「そうか、3ヶ月後を楽しみにしておくよ」  少年はひらりと手を振った。少女も踵を返す。 「よーし、行くわよ」  使い魔と共に少女は駆け出した。 「さてと、冬になるまで、俺はもう一休みするかな」  一塵の風が吹いた。秋の到来だった。  
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