不思議な道具

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「なんだよ。父さんにもたまには 学校の話とかしてくれよ。 ツトムは、今年から高校生だろ? 平日は難しいけど、休日くらい聞かせろよ」 僕、佐藤ツトムは今年から高校生になった ばかりで、親には少し無理を言って 私立のS高校に通うことにした。 成績は普通ぐらいで、N高校ぐらいなら なんとかなったが、公立高校は勉強勉強と 煩くなってしまうので、自由さがウリの 私立高校に通うことにした。 一部の大学目標の人は、早くも受験に向けた 勉強に勤しんでいるが、高卒社会人目標の人は 「いかに授業をサボるか」に余念がない。 僕もその目標の一人だが、さすがに 根がマジメなので、あそこまでの勢いはない。 「…では、誕生月占いの時間ですよ」 テレビでは笑顔を振りまくアナウンサーが にこやかな顔をして元気を出そうとしている。 休日にも関わらず占いをやっている。 平日もそうだが、一日と立たず忘れて ラッキーアイテムやラッキーカラーなど 半日も経てば忘れてしまうのに…と 斜に構えた角度で聞き流そうとしていた。 「ははは。父さんも参考にしようかな~。 昼から母さんとデート(買い物)だからなー」 年甲斐にもなくニヤける父さんもどうかと思う。
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