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と本心からか売り込みの為からか、本人達も訳が分からないまま必死で、大物芸人達の歯を浮かせて総入れ歯にしてしまおうかという勢いで、美辞麗句を並び立てて一日の労をねぎらった。
「おお、お前ら今日はよう頑張ったな。今日の調子で頑張ったら成功するで。あ、ごめんごめん、君ら南極コンビは聞き流してな。期待が大きいと、現実を知った時に何倍も酷く落ち込むからな。」
いつものようにおどけた調子で、その大物芸人はピンクのペンギンとブルーのアザラシの着ぐるみを着たお笑いコンビを指差しながら、若手芸人達に快く挨拶を返した。
「そんなこと言わんといてくださいよー。マジへこみますわー。」
笑いながら着ぐるみコンビはいじけてみせた。彼らはガツガツしていない癒し系芸人として、一部の業界人の中で最近急激に注目され始めている。
「君らおいしいなあ。KENJIさんにそうやっていじってもらえて。」
他の若手芸人達が羨ましそうに言うと、KENJIが
「お前ら十分売れてるやないかー。それ以上売れてどうするねん?」と返す。
「僕らはKENJIさん目標に、まだまだ頑張っていかんと行けないんですよ。」
「なんや、お前ら。もしかして、俺の座を奪おうとしてるんか?それはあかん。お前ら今すぐに病気してしまえ。お腹痛くなってしまえ。」
「何言うてるんですか。冗談酷すぎますわ。」
「すまんすまん。お、もう次の仕事が迫ってるわ。貧乏暇なしやで。ほな、来年もみんな元気に頑張ろうで。」
「はい。今年もお世話になりました。良いお年を。」
「とか言いながら、年内もまだ仕事一緒になるんやろ?」
「はい。その時はよろしくお願いします。」
「どないやねん。」
そんな彼らのやり取りを、他のスタッフは微笑みながら見守っていた。これで大きな正月番組の収録をまた一つ無事に終わらせることができたという感慨もある。放送時間3時間半に対し、収録時間は当初の予定より大幅に伸びてしまい、10時間以上にまで及んでしまった。それでも、この仕事に携わる誇りが不満を一切感じさせない。
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