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窓の外に目を向けると、紅色の葉が、ひらひらと落ちていくのが見えた。
1枚、2枚、3枚――
それらは時折窓にぶつかったり、身を翻させて回ったりしながら、ゆっくり、それでも確実に、静かに地面へ向かって降りていった。
机に肘をつきながら、ふ、と息を吐く。
1年というのは、本当に、あっと言う間に過ぎてしまう。
こちらの意思や覚悟とは無関係に、月日は巡り、流れていくのだ。
「――あ、天野教官。わたしたち、そろそろ『寮』に戻りますねー」
「はい。お疲れさま」
「天野教官、明日もよろしくお願いしまーす!」
「はい。さようなら」
礼儀正しく、そして規則正しく教室から出ていく生徒たちの姿を横目に、わたしは机の上に置いてある『成績表』に視線を移した。
わたしが見てきた、生徒たち。
ここには、この1年間の、彼らの『成績』が記録してある。
ページを開こうと、指を動かす。
けれど、わたしは途中でそれを止めて――教室の中を見回した。
――しずかな、教室。
夕陽に染まるその部屋の一番後ろの席には、ひとりだけ、机に伏した状態で微動だにしない生徒がいた。
居眠りしているのだ。
「…………」
無意識に、ため息が漏れてしまう。
彼の『番号』は、Z-031。
このクラス唯一の、『出来損ない』である。
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