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「小っ春。小春ちゃーんっ」
玄関で鍵を開けるような音がしたかなとは思っていたんだけど、大した物音もなかったのでそのままついまどろんでいた。
セリフと共に布団の上からのし掛かる突然の重みに、私は少しだけ瞼を開ける。
甘えるような、でも照れもある、程よく近めの距離に彼の顔がある。
「起きたな。おはよ! 今日、行くんだろ、琳派展。早く行かないとスゴイ人だぞ?」
「......どーしよー」
「おいこら」
そんなセリフを吐きつつ、軽く笑っている雰囲気が伝わってくる。何でも面白がってくれる、カワイイ素敵な彼だ。
でも、そろそろ布団から出ないと、本気で怒られちゃう。引き際は肝心。
「じゃじゃーんっ!」
布団からガバッと起きて、しっかり着替えていた姿をドヤ顔で披露すると、予想通り、彼はちゃんと驚いた顔をした後、喜んでくれた。
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