第1章

4/26
前へ
/26ページ
次へ
 ただ。  常に言われているからこそ疑わしいにも拘らず、常に言われているせいで『その何パーセントかは本気に違いない』とも考えてしまう私。  人の心って摩訶不思議。  てな訳で今日も私は、三十路目前の肌を晒したまま、ご機嫌にスニーカーを履いてしまった。  ドアの外に出ると、当然のごとく鍵を出して、施錠する彼。  一人暮らししている部屋の合鍵を渡したのは勿論私なんだけど、家主がいるのにそこまでやってもらうのは甘えすぎ?  思い付きで反省した私は、彼が私に左手を出すその前に、彼の左手に飛びついた。 「ぅをっ! ナニナニっ? らぶらぶだねーっ」  腕に張り付く私をそのまま受け入れて。  彼は何故かくねくねしておどけながら、判りやすく照れてくれた。そんな彼が、カワイイ。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加