第1章

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 私が示す好意を子どもみたいに素直に喜んでくれるのが、私も素直に嬉しい。  そのくせ、ちょっとした段差でも 「ここ気をつけて」 とか言いつつ、繋いでいる手をギュッとしてくれたり。  美術館の前で並んでいるときなんかは、 「寒くない? そこの自販機で何か買ってくるわ。紅茶でいい?」 なんて、積極的で男らしい面も見せてくれて。  如何にもカレシって感じでドキドキする。  まぁ彼の場合、男らしさを突き抜けてオカンに至ってることも多くて笑えるけど。そのどれもが私への愛情に直結していて、彼の隣は本当に居心地が良かった。  居心地がいいのは、彼が私に気遣ってくれるその気持ちや態度が頑張り過ぎてない、等身大なモノだってことも大きいかもしれない。
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