第1章

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 また、彼は笑い上戸だった。私も笑うことが大好きだから、そこも好みドストライク。  何を見ても、何かしら面白いところを見つけては笑い、それを私に報告してまた笑っている。  笑わせるのも好きな彼。ドリフ好きで、私が知っているネタも知らないネタも披露してくれ、それが私にウケてもウケなくても楽しそうだった。  『ネタは、ウケなかったらウケるまで繰り返す。ウケたら更に繰り返す』という多少鬱陶しいスタンスも、単純な彼らしくて好き。  ウザければウザいと正直に伝えられる関係でもあり、気安く言い切っても悲しみのジェスチャーくらいで終えてくれる彼の度量に、私は甘えきっていた。  朗らかな彼の横で、私はいつも笑顔でいられた。  世の中広しと言えども、『完璧』ってそうそうない。それは私も、十分に理解している。  でも私にとって彼は、私の彼氏として私にぴったんこな、『完璧』な恋人だった。
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