第1章

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 そういうのが似合う訳でも、そういうキャラって訳でもないのに、妙に全体的に髪を伸ばしていて、例の部分を隠そうとしているような、むしろ目立っているような状態になっている。  ……ハゲ、相当気にしてるよね?!  私、知らない振りをしてあげるべきなんだよね?!  でも。  例えば彼に死期が迫っていた場合、私は、その事実を彼自身に隠し通せないような人間だ。  彼にも自分の死を知る権利がある、とかそういう次元の問題ではなく。気持ちが溢れてしまって、身の内に秘めておけないのだ。  それと、およそ同じ状態だった。  溢れる気持ちの内容が違うけれども。 「良かったなー! 本物は、迫力が違うな!」  家に帰ってきても尚、興奮が抜けない彼。図録を見て、あれやこれやと語っている。
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