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「ご存知でしたか?」 と砂姫の言葉に眼を見開く。 「……資料室に学園創立当初の資料があったの。  あの段階では、信用を得るためか、志々津の名前が前面に出ていたわ」  そこに紅美の親の会社の名前があったことより、今、表に出ていないことの方が気になった。 「学園の経営はうまくいってないようです。  その補填はすべて志々津がしているとか」 「結構潤っているように見えたが―」 という野上に、 「そうなんです。  確かにセキュリティや施設に金をかけていますが、生徒数も多いですし、金持ちも多い。  優秀な生徒を奨学生にして引き抜いたりしてますから、のちのち成功して寄付してくる卒業生も多いそうです。  それなのに、うまくいってないのは、金が他に流れてるからだとか」 「他って?」 と見た砂姫に言いにくそうに言った。 「志々津は紅美様を生かすために、あの学園を維持している―  という噂があるんです」
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