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「じゃ、今日のホームルームはさぼりますから、よろしく」
お前ね……と言う教師に、公用ですよ、と言い置いて、海王は職員室を出た。
神聖学園は生徒会の権限がとても強い。
それは一見、自由な校風に見せかけることにより、或るものをこの学園に常駐させていることから目を背けさせるための措置なのかもしれなかったが―
「海王!」
聞き慣れた声に、ぎょっとして振り返る。
「砂姫!?
お前、なにしに来たっ!?」
その叫びに、砂姫は甘えるようにスカートの裾を揺らす。
「だあってえ、暇なんだもん」
相変わらず手のかかる幼なじみに、深い溜息を漏らしたあとで、
「寝てろよ、お前。陸橋から落ちたんだぞ」
と言っても無駄そうなことを一応言ってみた。
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