527人が本棚に入れています
本棚に追加
「……なんか居るのか」
嫌だがそう訊いてみると、再び何かを追うように、今度は前の方を見ながら、
「何度もこの廊下向こうから歩いてくる人だよ。
いつも気にしないようにしてるんだけど。
古い霊なのか、かすんでよく見えないんだよね。
先生なのかな?
あれっ」
と砂姫は表情を止めた。
切れ長の眼の奥の真っ黒な瞳で、自分のすぐ横を見つめている。
おいおい、と思わず、そこから身を引いた。
砂姫は、
「気のせいか……」
とまた振り返っていた。
訊きたくはなかったが、一応、訊いてみる。
「どうかしたのか?」
最初のコメントを投稿しよう!