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 紅美の心臓の手術のことを執事は知っていた。 「その後も紅美様の身体の、いわばメンテナンスをさせるのに、そのときの医師やスタッフを囲っていて。  そこに莫大な金が流れてるんじゃないかと。  それに会社の金を流用するために、学園を隠れ蓑にしているという話なんですよ。  それまで、学園の経営になんぞに興味もなかったような現会長が、紅美様の手術のあと、急にあの学園を建てられたことが噂の源のようで」  かなり焦って造られたようですよ、と言う。  では、私を囲い込むために造ったわけではなかったのか、と思ったが、執事は、 「でも私はちょっと違う気がして」 と言い出した。
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