女神戦記

雪

「『志々津紅美を生かすために、あの学園を維持している』という言葉は妙なリアリティがあります。

　恐らく身内から漏れたものでしょう。

　でも、彼らが言うような俗物的な意味ではない気がするんです」
とこめかみに人差し指を当て、自ら考え込むような仕草をする。

「そうだな―」
と野上がその、まだ思考途中の執事の考えを引き取った。

「俺も少し調べたが、あの学園の創立を急いだのは、恐らくスタッフを引き止め、金を払い込むためじゃない。

　あの土地に、他の施設が建とうとしていたからだ。

　それより先に、あの土地を手に入れる必要があったんだ」

　学校という、いわば公共の施設を建てるからという理由でごり押しして―

　土地に意味と力があるのだと、野上もヘルメスも言っていた。