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「おかしいでしょ! お兄さんの写真が待ち受けって!」
「おかしくないよ。兄ちゃんはかっこいいんだから」
そして始まる兄語り。
どこどこが良くて、どんなに素晴らしくて、この前はこんな事があって、その前はそんな事があって……。
「だから、僕もかっこいい兄ちゃんみたいになれるように、待ち受け見ながら頑張っているんだ」
目をキラキラさせながら語るあなたはとても痛いです。
自分の携帯電話を取り出し、私は彼の前に開く。
「私の待ち受けはあなたとのツーショットなんですが」
これで何かを感じてくれ。
「あ、これ初めてのデートの時のだ」
もしいつ撮ったものか分からなかったら、私は泣いていたかもしれない。
「懐かしいねえ。僕、初めてのデートだったからどこに行けばいいか分からなくて、兄ちゃんに聞いて決めたんだよね」
ああ、だからゲームセンターとか、らしくない所に案内されたのか。
「で?」
「でも、僕がダメだったから上手にリード出来なくて」
「そうじゃなくて」
彼の思い出話を遮る。
聞きたいのはそれじゃない。
「私の待ち受けはデートの時の写真。あなたの待ち受けはお兄さんの写真。どう思いますか?」
彼は首を傾げる。
本気で分からないようだ。
私は彼と私の携帯電話を操作し、フォトのフォルダを開く。
「じゃあこれなら?」
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