彼の日常

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 彼の前に二つの携帯電話を置く。  私のフォルダの中身は、動物や友達の写真が何枚かあるが、ほとんどが彼との写真だった。  それに対して、彼のフォルダはお兄さんの写真一色だった。 「楽しそう?」 「違う!」  そんな事は聞いてない。 「おかしいと思わないの? お兄さんばっかり写していて!」  彼が私の目を見る。 「何で? 写真って撮りたいものを撮る物でしょ?」  そこに私は含まれないの? とはさすがに悲しすぎて言葉に出来なかった。 「この前のデートもお兄さん優先させたよね」  お兄さんが買い物に誘ってくれたとかで、前日にデートをキャンセルされた。 「それはちゃんと謝ったじゃない」  謝られたからと納得出来るものじゃない。 「別の日にデートもしたし」  デートをすれば良いってものでもない。 「そのデートも、お兄さんが遊びに行かずに家にいるからって早めに帰ったよね」  これが今日の話し合いをしようと思った原因となった。 「だって、あまり兄ちゃんと一緒にいられないから、なるべく一緒にいたいんだもん」  彼はぷうっと頬を膨らませる。  潰してやりたい。  その頬を潰してやりたい。
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