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「どこで降りればいい?」
今ちょうど、降りる駅を言おうとしていた所で。
私が言う前に気がついて聞いてくれる一之瀬さんに、私のどきどきはどんどん上がっていく。
最寄りの駅名を言えば、にこっと笑って頷いてくれた。
それから車内広告を見ながら、アレは面白いんだって、とか、アレはないよなー、なんてたわいもない話をしてくれて。
その話が楽しくてつい夢中になっちゃって、腕を掴まれて降りた駅に驚いてしまった。
「あれ?この駅だよね?」
「えっ!?あ、そうです!」
「はははっ、」
「うわー、すみません。すっかり降り損なう所でした」
こっちです、と指差しながら、でも差しだされた腕にまた捕まらせてもらって。
近くのショップの話なんかをしながら歩く事15分。
自宅付近のコンビニでハッと気がついた。
「あ、えっと、」
「お家、この辺かな?」
「はい、ありがとうございました」
「じゃあ、気をつけてね」
ひらりと手を振って、一之瀬さんはのんびり歩いて行ってしまった。
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