かあさんの星

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よしあきは、現場責任者の男性から『家に帰ってあげないとお母さんがかわいそうだよ…』と言われたことに腹を立てたまま帰宅をした後に、くみこが作った晩ごはんを食べていました。 ちゃぶ台の上には、白ごはんと朝の残り物のコンソメスープとあじのひらきときんぴらごぼうとひじきとたくあんが置かれていたのでありました。 よしあきは、ぼそぼそとしながら晩ごはんを食べていたのでありました。 くみこは、よしあきが疲れているので、優しい声でよしあきに言ったのでありました。 「よしあき…」 「何なのだよ…」 「よしあき…今日、工場からシャホウをもらわなかったかな…」 「シャホウ…何でシャホウのことを出して来るのだよ!!」 「どうしてって…会社のことが知りたいからシャホウを読みたいのよ…」 「そんなことを言って…かあさんが読むところは決まって結婚おめでとうございますの欄なんだ!!」 「どうしてそんなに怒っているのよ…」 「かあさんは、シャホウの結婚おめでとうございますのところをばかり読んで、何がしたいのだ!!」 「何がしたいって…社内恋愛で結婚したカップルさんの幸せを慶びたいのよ…」 「それじゃ…自分の息子の結婚は慶べないのだね…分かったよ…ぼくがガマンをすれば、ショッケンのみんなが幸せになれるのだよ!!」 「よしあき…」 「かあさんは…かあさんはぼくにどうしてほしいのだよ!!」 「どうしてほしいって…よしあきに幸せになってほしいのよ…」 「どうすれば幸せになれるのだよ!!オレ…社内恋愛はしないから!!」 「社内恋愛をしたくないって…」 「キューデン(宮殿本社・日本食研の本社ビル)のOLさんとは結婚したくないのだよ!!」 「どうしてそんなに怒っているのよ…」 「怒りたくもなるよ!!同じ製造の現場のN中はキューデンのOLさんとイチャイチャイチャイチャしていて…オレにとっては頭に来るのだよ!!だから、結婚も恋もしたくないのだよ!!冗談じゃない!!晩ごはんいらないから!!」 よしあきは、ごはんいらないとくみこに怒鳴り付けた後にごちそうさまと言いまして、テレビを見るためにテレビの電源を入れたのでありました。
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