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天気は空を暗く覆い尽くす黒い雨雲に埋め尽くされて、僕の憂鬱な気持ちを代弁しているようだった。
バシャバシャと激しい雨音のせいかはわからないが妙な胸騒ぎがした。
この雨が僕ではない誰かの悲しみな気がしてならない。
僕が学校に到着すると校門横の大木に沢山の生徒が集まって騒がしかった。僕は無視して人混みを掻き分けながら進む。
「…………」
そこで、足が止まった。
生徒達が集まる大木の下に君がいた。後ろ姿だけど、綺麗な黒髪のおかげですぐに君だとわかった。
……止まった理由はそれじゃない。
(どうして……)
僕は目を疑った。
太陽である君が、歯を食いしばって沢山の涙を流していたんだ。愕然とする君の足元には学校の飼育小屋で飼っていた白いウサギ達が倒れていた。
─────赤黒い血溜まりを作って、無惨にも両耳が引き千切られた状態だった。
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