第1話

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そんな君に僕は無意識に疑問を投げかけていた。 「君に出来ない事はないの?」 僕に突然話しかけられた君は驚いた顔をした。当然だ。高校に入学してから僕はクラスの人にだって口を聞いていない。 君は少し唖然としてからクスリ、と可愛らしく笑った。 「あるよ。当てる?」 「……当たりそうにないから教えてほしい」 「いいよ。でも他の人には内緒ね」 僕は頷いた。 「わたしね─────怒れないの」 ………へ? 「……怒らない……じゃなくて?」 「……うん。怒ることが出来ないの」 途端に他人に嫉妬ばかりする僕の中で彼女に対する羨望が激しく沸き上がった。 「良い子だね」 「ち、違うよ!!そうじゃないの!!みんなわたしの事勘違いしてる!」
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