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「着いてきちゃったの?賢一さん・・・。」
煙が引いてから現れたのは、彼女・・・あのキャリアウーマンだった。
「君、じゃなくて、昆子さん!!まさか・・・!!」
「そうよ、私、妖狐。化けギツネなの!!騙して御免ね!!
でも私の正体を見られちゃ、只では帰さないわよ!!
ほら!!あんたの体!!」
えっ?!
僕は、廃車の垂れ下がったドアミラーに映る自信の姿を満て、絶句した。
き、キツネになってる!!!!!!
「ほうら、貴方は私の『妖術』で、キツネになったんですよ!!
わりと可愛いよ!!キツネ姿!!」
『僕』は絶句した。
「す、すいませーん・・・僕、二度と元に戻れないんですぁ?僕はつい、貴方が気になって・・・」
「はぁ?『ストーカー』して何?その態度は!!」
キャリアウーマンの彼女もとい『妖狐』の昆子は、呆れた顔をして『僕』をグジグジと詰った。
「大体ねー!!貴方は仕事態度を見てると、とっても腹が立つのね!!
全く・・・!!うちの上司も呆れる訳だわ!!
本当、貴方仕事やる気あるの?!」
おいおい!昆子!!ここで仕事のことを持ち出すなよ・・・!!
しかも、キツネの姿で言われると・・・『僕』も、キツネになってるけどね。
しかし、『妖狐』の昆子の話の内容が段々と自らのことになると、『僕』は絶句した。
彼女は、この『僕』と彼女の就いている会社・・・建設会社で受け持つ開発で山を削られて棲みかを追い払われたキツネだった。
その『妖狐』の血を持つ彼女は、 キツネ仲間との流浪の末に見付けた、この放置車両という棲みかで暮らし、彼女は仲間を養う為に、人間の女性に化けて、棲みかの山を壊した建設会社であえて就き、『スーパーOL』としてキャリアウーマンの域まで仕事をこなしながらも、復讐の機会を伺っていたこと。
しかし、美味しいものを食べさせようと稼いだ金で仲間のキツネ達は、病気や保健所に殺されたりして次々と死に絶え、今では番の遺した子ギツネ達を養うことに、金銭を使っていること。
うわあ・・・彼女にそんな秘密が・・・!!
「何泣いてるの?雄ギツネでしょ?
ははーん・・・
私の話を聞いて、泣いてるんでしょ?」
突然、彼女・・・『妖狐』の昆子はニコニコしながら僕の顔を覗きこんだ。
「じゃあ、お願いなんだけどーーー!!ふふーん。」
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