泡沫

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シュル……と桜が胸元のリボンの紐を器用に外す。 そんなものをどうするのかと固唾を呑んで見つめていれば、桜はリボンの紐の片端をベッドの柱に固く結ぶ。 なんのためにそんなことをしているのか分からないのに、言いようのない恐怖がした。 「愛してるわ」 次の瞬間、柔らかく弾力のあるものが唇を覆う。 頭の中が真っ白になり、キスをされたのだと理解するのに時間がかかった。 と、片方の手首に圧迫を感じてはっと我に返る。すぐに押し返そうとした時、急に桜が離れた。 「おしおきよ。もう我慢する必要がないから、たくさん苦しめてあげる。だから、苦しむ素敵な響くんをたくさん見せて」 「……っ!ふざけるのもいい加減にしてくれっ!」 耐え切れなくなって叫ぶ。起き上がろうと、さっき圧迫を感じた方の腕が何かに引っ張られる。 「え……」 恐る恐る引っ張られた腕を見れば、手首を見覚えのある紐が縛っていた。 さっと血の気が引いていく。身体が震えるのを感じながら、ゆっくりと桜を見た。 ・
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