泡沫

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「その紐はね、特注で作ってもらったものなの。いくら引っ張っても切れないから、たくさん暴れても大丈夫よ。ああでも、ここは病院だから大きな声は出さないでね。 なにもかも失いたくないでしょ?」 優しく語りかけてくる声に、咄嗟に頭に浮かんだのは病室にいる母さんの姿だった。 全身の力が抜け、視界が暗くなっていくのを感じた。 目の前にいる女が、人間の皮を被った悪魔にしか思えなかった。 「響くん」 恍惚とした表情で微笑み、ねっとりと絡みつくような甘い声で名前を呼ばれた次の瞬間、首を絞められーー悪夢は幕を開けた。 ・
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