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命よりも大切な母なのだ。
と、その時だった。丁寧に扉がノックされ、桜ですと可憐な声とともに扉が開く。
「失礼いたします。こんにちは」
透けるような肌をした美しい顔に、花を思わせるような微笑みを浮かべ、室内に入ってきたのは俺の彼女の水野 桜だ。
いつもは一緒に帰っているのだが、今日は桜が用事があると言って学校で別れたのだが、学校帰りに来てくれたのだろう。桜は制服姿のままだ。
桜はよく母さんの見舞いに来てくれて、母さんの話相手になってくれるため本当に助かっていた。
起き上がろうとする母さんを、桜は素早く反応してそのままでいいと止める。
「いらっしゃい桜さん。いつもお見舞いありがとう。おばさん嬉しいわ。制服ってことは学校帰りかしら?」
「はい。一時でも早くお母様と響くんに会いたくて制服のまま着てしまいました」
照れたように頬を染める桜に、母さんは嬉しいわとにこにこと笑う。
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