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実の息子の俺でさえ、実の親子に思えそうなほど二人は仲が良い。
桜の父さんが全額負担してくれたこともあるのだろうが、母さんは桜自身を気立てのいい可愛い子だとえらく気に入っている。俺と二人きりのときなども、よく桜の話が出るくらいだ。
正直言えば、二人きりの家族だったため少し寂しい。
「響くん今日はバイト休みだったよね?」
「え?あ、うん」
「じゃあ、今日はゆっくり三人でお話ができるのね」
嬉しそうに微笑む桜に、俺もつられて笑う。
少しでも生活の足しになればと始めたバイトは週五日。学生のため勤務時間が当然放課後のため、こうしてゆっくりできる時間があまりない。
バイトのせいでバタバタせずに面会時間を過ごせるのは俺としてもすごく嬉しい。
桜の父さんには多大な恩があり、桜は可愛くて優しく、なにより母さんを大切にしてくれている。
非の打ち所のない桜が自分の彼女という実感は未だに湧かないが、俺も彼女のことは好きで、仲が良い二人の姿を見て寂しくはなっても三人でいる時間は好きだった。
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