泡沫

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鋭い瞳は俺が悪いと強く責めている。 冷や汗が背筋を流れ、声が出せない。 一体俺が何をしたというんだ。 病室で三人で話していた時は普通だった。病室を出て最初も、桜は上機嫌で……ただ普通に廊下を歩いていただけだ。彼女の気に触るようなことはしていない。 桜が怒った姿を一度も見たことがない俺には、桜が何に怒っているのか大方の予想もつかない。 「ご、ごめん……」 静かに憤る彼女の気迫の恐ろしさと、原因の分からない恐怖による混乱で気がつけば謝っていた。 本当にごめんと消え入るような声でもう一度謝る。 ・
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