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怒ったことがない桜を怒らせてしまったということは、俺はそれほど桜の気に触るようなことをしてしまったのだろう。
謝れば桜は許してくれるはず。そんな安易な考えは瞬時に壊された。
「どうして謝るの?どうして私が怒ってるか分かってるの?」
「桜やめ……っ!」
ぐぐぐっと腕を締め上げられ、顔を苦痛に歪めずにはいられない。
痛いと声を上げるが、桜は離そうとしない。鋭い視線は俺に突き刺さったまま、痛みが酷くなっていく。
耐え切れずに彼女の手を乱暴に振り払おうとした時、唐突に彼女の手が離れる。
「……っ!」
激しく痛む腕を押さえる。
痛みが酷くて声も出せずに苦痛に耐えていると、信じられないような強い力で引っ張られベッドの上に倒れる。
「桜……!?」
さっきから一体なんなんだと、流石に怒ろうとした時、突然桜が俺に馬乗りになる。
驚く間もなく顔を近づけられ、吐息を感じそうなほど近くにある彼女の能面のような顔に息を呑んだ。
身体が硬直し、金縛りにあったかのように動かなくなる。
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