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「私ね、今日まで我慢してたの。響くんが私以外の他の女をその綺麗な瞳に映すたびに怒りが湧いて、響くんを滅茶苦茶にしたい衝動を必死に堪えてた。
愛している貴方に逃げられるわけにはいかないから」
「なに言って……」
声が震える。わけがわからず喉が渇き、酷く耳鳴りがした。
蒸し暑い真夏の最中だというのに、全身が凍えそうな寒さがする。
唐突に頬を優しく撫でられ、背筋がぶるりと震えた。
「ねえ、愛してるのよ。愛して愛して、愛してるからこそ滅茶苦茶にしたいの。そして、目移りを許せない。私の心も分からないくせに、謝られると腹が立つわ。
ねえ、わかってる……?」
一体、彼女は何を言っている。
愛している?
滅茶苦茶にしたい?
それにこの状況はなんだ。
何一つ状況が飲み込めずに混乱する。なにか言わなければいけないというのに、冷え切った瞳に見つめられると声が出せない。
生きた心地がしなくなっていた。
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