第1章

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~それから半年後の後日談~ 寒い、ひたすらに寒い。暖房が恋しいこの季節、生徒会は代替わりをしてなぜか僕が副会長になっていた。先輩に祭り上げられ、あのときの子が煽ったせいである。 ちなみにその子、三枝睦枝(さいぐさむつえ)は書記だ。一年だというのに多分僕より働く。そして何故か僕を慕っている、世の中とは奇妙なものである。 そのとき首に腕がまきつけられて体重と胸が乗せられる。 「ねぇねぇ、今日は何時終わり?」 「デスクワーク終えたらおしまいですよ。そう急かさないでください」 「早く帰ろう?」 そう、代替わりしたのに先輩はまだやってくる。院政とかではなくただ僕の迎えのために、一度勉強しろ受験生と言ったら推薦組だとかぬかしたのである。 嫌ではないが、見られているとやはり恥ずかしいものだ。 「睦枝君に任せたら?彼は仕事ができるタイプだし新人教育で」 「そんなに帰りたいですか」 「でないとまた途中で寝てしまって最後までイけな「おいこら痴女」彼女に対して痴女は無いんじゃない?」 首筋をなぞるように触れていた手を払いのける。 付き合ってから先輩はスキンシップが激しくなった。さらに生徒会を引退してから変な方に吹っ切れている。理性がチキンレースである。 第一この前寝たのはそっちです。ホント泣くかと思いましたよ。ていうかどっちの家にも親いるでしょう。 「今日は出会ってから一年だよ?」 「忘れてませんよ」 「彼女の体と一緒にいたいとは思わないのかな?」 「体はともかくとしても一緒にいたいからこれで終わりなくらい仕事早めたんです、はい終わり」 ペタッと申請書に判子を押して今日の仕事は終わり。後は先輩との一触即発鍔迫り合いである。いかに落ち着かせ、ちゃんと帰らせるか。僕の手腕にかかっているのだ。 「フフッ、じゃあ行こうか。今夜は寝かさないよ?」 「寝ないでいたい、の間違いでは?」 「……相変わらずの減らず口だな」 「寝られた側の不満です」 じっ、と互いににらみあって どちらともなく吹き出す。何だかアホらしいやり取りだが半年間だいたい同じだ。 一見完璧でどこまでも可愛いポンコツ充電姫が日に日に可愛くなっている。 惚れた弱味ってのは怖いもんだと思いながら僕らは夜道を帰っていった。 なおその夜もまた寝られた模様 ~fin~
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