第1章

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私の彼は、何をとっても完璧だった。 甘いマスク、スタイル、洗練されたファッション、とても頭の回転がよく、会話はウィットに富んでいて、責任感が強く周りからも信頼されていた。 ただ一つ、彼の欠点をあげるとすると、優しすぎるところだ。 彼は誰にも優しく、会社の女性は皆、彼に熱を上げていた。 そんな彼が、私を選んだ。 ある日突然、メールで告白されたのだ。 「付き合ってください。」 私は、年上だし、彼の上司だし、最初は正直戸惑った。 「私なんか、いいの?年上だし。」 「歳なんて関係ないでしょ?」 そこから彼との付き合いが始まった。 私達は、一応上司と部下という立場なので、会社ではごく普通に振舞っていた。 しかし、一度会社を離れれば、甘い恋人同士の時を過ごした。 遊園地に行った時は、私がジェットコースターが苦手と言ったのに、乗ったこともないのに、苦手かどうかわからないでしょ?と無理やり乗せられて、やはり怖くて足がガクガクになった私を支えてくれて 「大丈夫?ごめんね。でも、かわいい。」 と優しく頭を撫でてくれた。 彼は時々、出張で会えない時も必ず、おやすみメールをくれるし、私は本当に大切にされてると感じた。 だけど、やはり彼は誰にでも優しいので、時折、勘違いされてしまうのだ。 そんな彼の優しさに勘違いした女性が最近彼に急接近している。 正直、その女性は、私とは全く反対のタイプで、軽い甘ったれた感じの女性で、はっきり言って不細工だ。 彼は優しいので、そんな女性にも等しく優しくしてしまう。 「ごめん、今日、三沢さんから、ちょっと相談受けちゃって。終わったらすぐに会いに行くから!」 そんなメールに、年上だからと大人ぶってみても、やはり心穏やかではない。 あの女は絶対に、彼を狙っているのだ。 「わかったわ。彼女の相談に乗ってあげて。」 私は、心にも無い返信を返す。本当は、彼女の相談なんか受けないで欲しい。 すぐに会いに来て!そう言えない自分が歯がゆかった。 案の定、あの女は彼に、彼氏に振られたと相談してきて、酔った振りをしているようだ。 「彼女、すごく酔っ払っちゃってさあ。参ったよ。俺はすぐにでも、君に会いたいのに。仕方ないから彼女を送っていく。今日はごめんね。」 そんなあ。私はそう思いながらも、また大人ぶってしまう。
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