第1章

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「うん、ちゃんと送ってあげてね。おやすみなさい。」 「ごめん、愛してる。」 私はその言葉をもらうだけで、嬉しかったのだ。 そしてここ数ヶ月、私達は、お互いの仕事が忙しくて、ほぼ会社以外で、会うことができなかった。 でも、会社で毎日顔を合わせてるのだから、よしとしよう。 今を我慢すれば、またお互いの愛を深める時が来る。 そう思って我慢してきた。 でもやはり、私に禁断症状が現れた。会社で毎日顔を合わせているのに、デートもできないなんて。 これじゃあ生殺しだよ。私は、思い切って、今夜彼の部屋を訪ねることにした。 彼が疲れているのはわかっている。私だってずっと我慢してきたのだ。 一度くらいいいよね?私は、真っ赤なバラの花束を買い真っ赤な包装紙に包んでもらった。 これが今の私の気持ちよ。私なりのサプライズ。 チャイムを鳴らす。 「アヤメか?」 彼がそう言いながら、ドアを開けた。 「こんばんは!来ちゃった!びっくりした?」 私は真っ赤なバラの花束を差し出した。 すると、彼は目を大きく見開いて驚いた。 ************************** 真夜中のチャイムに驚いた。 ははーん、アヤメめ。俺にサプライズをしかけようってのか。 先ほどまで、俺に会いたいってメールで駄々をこねてたものなあ。 仕方の無い女だな。俺は、すぐにドアを開けた。 「アヤメか?」 「こんばんは!来ちゃった!びっくりした?」 「中田主任?ど、どうしたんすか?こんな夜中に。」 俺が面食らっていると、真っ赤なバラの花束が差し出された。 俺はその花束を見て、腰が抜けるほど驚いて、目を見開いた。 ゴトリ。花束の中央に置かれたものが、床に転がった。 そして、その転がった物に焦点が合うと、俺は叫んだ。 「アヤメ!」 やはり見間違いではない。バラの花束の中央に置かれていたもの。 それは紛れもない、アヤメの首だったのだ。 ************************ 
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