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「うん、ちゃんと送ってあげてね。おやすみなさい。」
「ごめん、愛してる。」
私はその言葉をもらうだけで、嬉しかったのだ。
そしてここ数ヶ月、私達は、お互いの仕事が忙しくて、ほぼ会社以外で、会うことができなかった。
でも、会社で毎日顔を合わせてるのだから、よしとしよう。
今を我慢すれば、またお互いの愛を深める時が来る。
そう思って我慢してきた。
でもやはり、私に禁断症状が現れた。会社で毎日顔を合わせているのに、デートもできないなんて。
これじゃあ生殺しだよ。私は、思い切って、今夜彼の部屋を訪ねることにした。
彼が疲れているのはわかっている。私だってずっと我慢してきたのだ。
一度くらいいいよね?私は、真っ赤なバラの花束を買い真っ赤な包装紙に包んでもらった。
これが今の私の気持ちよ。私なりのサプライズ。
チャイムを鳴らす。
「アヤメか?」
彼がそう言いながら、ドアを開けた。
「こんばんは!来ちゃった!びっくりした?」
私は真っ赤なバラの花束を差し出した。
すると、彼は目を大きく見開いて驚いた。
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真夜中のチャイムに驚いた。
ははーん、アヤメめ。俺にサプライズをしかけようってのか。
先ほどまで、俺に会いたいってメールで駄々をこねてたものなあ。
仕方の無い女だな。俺は、すぐにドアを開けた。
「アヤメか?」
「こんばんは!来ちゃった!びっくりした?」
「中田主任?ど、どうしたんすか?こんな夜中に。」
俺が面食らっていると、真っ赤なバラの花束が差し出された。
俺はその花束を見て、腰が抜けるほど驚いて、目を見開いた。
ゴトリ。花束の中央に置かれたものが、床に転がった。
そして、その転がった物に焦点が合うと、俺は叫んだ。
「アヤメ!」
やはり見間違いではない。バラの花束の中央に置かれていたもの。
それは紛れもない、アヤメの首だったのだ。
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