◆甘い生活◆

2/4
前へ
/35ページ
次へ
*   *   * 少し丸みを帯びた猫脚に、アンティークな印象を与えるブラウンのドレッサー。 ラグジュアリーなアンティーク風で纏めた、白を基調にした家具たち。 ライトやパーテーション、小物雑貨にいたるまで全てがお洒落で、こだわりを感じさせる。 こんな素敵な部屋で、申し訳ないほど似つかわしくない大きなため息を吐いた。 先生から与えられた「私の部屋」 一歩その部屋に入ったら、長い髪に細く白いうなじが映えるような、女性らしい綺麗な人を彷彿とさせる香水の匂いが漂ってきそうだ。 もちろん今は私の部屋なので、そんな官能的な匂いはしない。 するとすれば、制汗剤の匂いや、たった今お風呂から上がったばかりの私の頭から発せられる、まったくこだわりのないシャンプーの匂いだろう。 私は首からタオルを下げ、もう一度この部屋に似つかわしくない大きなため息を吐いた。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

431人が本棚に入れています
本棚に追加