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「それはね、梁取先生には忘れられない女の人がいるからなの。恋をするだけ無駄なのよ」
思いがけない言葉に、心臓がドクドクと大きく鳴りだす。
「忘れられない……人?」
「そう、梁取先生には結婚を約束した女の人がいたの。もう一緒に住んでたらしいわ。凄く綺麗な人だったそうよ」
「……だった?」
「亡くなってしまったの。交通事故で。それかららしいわ、梁取先生が変わったのは」
驚きの真実に目の前がクラクラする。
妹のって、嘘だったんだ。
あれは死んだ婚約者の……
「まあこれは河本先生から聞いたんだけど、梁取先生の前でこの話はご法度らしいから。
梁取先生はもう誰とも付き合わないって決めたらしいわよ。一生独身を貫くんですって。あんなにいい男なのに勿体ないわよね」
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