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職員室に戻ったけれど、梁取先生の姿はなかった。
やり残した仕事があるわけではなかったので、何をしたらいいか聞くために梁取先生を探した。
梁取先生が担当する教室を覗くと、梁取先生が教壇に一人立っていた。
「先生」
梁取先生に声を掛けると、先生は「おう」と言って顔を上げた。
「優斗君は帰ったのか?」
優斗君、という言葉に棘があった。
けれど気付かなかったふりをして会話を続けた。
「まだいるみたいです」
「お前を待ってるのか?」
「まあ……でも仕事が沢山残ってたら先に帰ってって言うつもりなんで! なんでも頼んじゃってください」
「仕事頼んだら一緒に帰れないだろ」
「別にいいですよ。今日しか会えないわけじゃないんだし」
梁取先生はふ~んと言ってあからさまに面白くないといった顔をした。
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