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嘘……
最悪のタイミング……
「おかえりくらい言えよ」
口をポカンと開けたまま突っ立っている私を見て先生が声をかけた。
いつもと違う私の様子に顔色を少しずつ変えていく先生。
先生の目は驚いて声も出せない私の顔から手に持った大きなボストンバックへと移り、最後にテーブルに置かれた紙に目を落とした。
私の横を通り過ぎ、テーブルに置かれた白い紙を手に持つ先生。
先生に宛てた手紙なのに、見られちゃまずいものを見られたかのように胸がバクバクと音を立てた。
「……どういうことだよ」
地底を這うような低い声。
怒っているようにも聞こえた。
震える手に力を込め、バックの持ち手をぎゅっと握った。
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