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「私は……先生のものじゃない」
泣きながら言うと、先生は黙って唇の血をペロリと舐めた。
「どうして…こんなこと……
私の気持ち知ってて……酷い……」
先生を突き飛ばした時に衝撃で眼鏡が取れて床に落ちていた。
ただでさえ緩くなっている私の涙腺は崩壊し、とめどなく涙が溢れてきた。
「好きだからだよ……」
悲しそうな先生の声が静かな教室で音を拾った。
誰もいないこんな静かな教室でなければ聞こえなかっただろうと思うくらい、その声は小さなものだった。
「え……?」
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