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「お~い梁取いるかぁ?」
こんな場面で不釣り合いな程大きな声が教室に響き、河本先生が顔を出した。
緊迫した私たちの様子を見て、河本先生が固まる。
「俺……お邪魔だった?」
はい、かなり邪魔です、と言いたかったけれど言葉は出なかった。
梁取先生は怒りが混ざった声で「なんだよ」と河本先生を睨みつけた。
「あ、いや、いいんだ……」
出ていこうとする河本先生に梁取先生は大きなため息を吐いて
「いいよ別に。用ってなんだよ」
と言って私から離れた。
梁取先生の後ろ姿はちょっとほっとしているようにも見えた。
「良くないだろ、藍沢先生泣いてるし。あっ口から血出てるぞ! 大丈夫か!?」
大丈夫だよ、梁取先生はぶっきら棒にそう言うと河本先生の肩を組んで教室から出て行った。
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