◇初詣の記憶◇ #2

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「ていうかさぁ、いつもやってるから実家に帰った時ぐらいゆっくりしたいんじゃん。分かる?」 私は食べかけのお煎餅をぶんぶん振りながら主張した。 「たまにしか帰ってこないんだから、手伝って親孝行してほしいよ、お母さんは」 うぐっ…… 咽にお煎餅が一瞬詰まって、慌ててゴクリと飲み込む。 それ言われちゃうとなぁ…… 何も反論できないよね。 「お正月だからって家にばっかいないで外出なさい、外!」 「やだよ寒いじゃ~ん」 「初詣くらい行ったらどうなの。毎年行ってたでしょ、須賀之神社!」 「あ~~……」 須賀之神社か、懐かしいな。 ここら辺に住む人達は皆、須賀之神社にお参りに行く。 大きな神社ではないけど、他の神社に行くには遠すぎるし地元密着の神社だ。 そういえば中学三年の時以来行ってないなぁ…… 私は須賀之神社と聞いて、梁取先生との7年前の会話を思い出した――
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