◇梁取先生の過去◇ #2

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◇梁取先生の過去◇ #2

傍から見ているこっちが恐怖で泣きそうになった。 どうしたらいいか分からなくて、杏子の上半身を抱えながら、必死で息を吸い込んでいる杏子を見ている他なかった。 杏子はもう限界だったのだ。 たかが恋愛と思っていた自分の浅はかさが心底嫌になった。 数分もすると、杏子の息遣いは正常に戻っていった。 そして体の力が抜けたのか、しばらく動くことができずにいた。 俺はそんな杏子の手を握って、ただ杏子が動けるようになるのを待った。 『ごめんなさい』 しばらくすると杏子は一言だけそう言ってシクシクと泣き出した。 なんて言ったらいいか分からなくて、ただ手を握りしめた。 『しばらく学校休んだらどうですか?』 『一度休んだら、もう戻れないような気がするの。学校だけじゃない、社会にも』 『でも、もう限界なんじゃないですか?』 『……そうね、もう限界かも。でも、負けたくないから』 この期に及んでも、負けたくないと言う杏子の負けず嫌いに笑いが出てきた。 『なんで笑うのよ』 恥ずかしそうに俺を睨みつける杏子を見て、本当はとても弱いのだなと思った。 必死に背伸びして立っていないと崩れてしまうのが怖くて、だからいつも完璧を演じていたのだなと、そう思った。
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