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『今日の羽生くん楽しみだね 晩御飯は用意しておくね』
朝からLINEでこんな彼女がなんだが可愛らしい。しかし毎朝デジャヴの感覚がするから寝起きが軽く混乱していたけどね。
『明日の羽生くん楽しみだね』
『羽生くんまであと2日だね』
『羽生くんまであと3(略)
可愛いでしょ、俺の彼女。
カウントダウンLINEは今日で終わりかあ。もう遠足でテンションがアガがりっぱなの小学生並みだよね。
今朝お前は目覚めた瞬間に勢い良く飛び起きて、その場をグルグル回って小躍りをしたんじゃね? いいさ、いいさ、楽しみだね羽生くんの4回転。お前が嬉しいと俺も嬉しいし、お前が笑顔だと俺の口元も緩む。
晩飯なんだろなー。
彼女は料理が上手いから『晩御飯は用意しておくね』なんて文章を見て自然に頬が緩む。すりおろし玉ねぎに漬け込んで揚げるジューシーな鶏の唐揚げ食べたいな。また豚の角煮作ってくんないかなあ。柔らか肉のビーフシチューも最高だよなあ。手羽先の甘辛揚げもいいなあ。
『野球は見れない』現実から目を逸らすべく晩飯の幸せに期待し胸を膨らませる俺は自分で言うのもなんだがいじらしい奴だと思う。
そしてせっかく晩飯を用意してくれるのならコンビニスイーツでも買って帰ろうかなとフッと微笑む。多分彼女的にはスケートでテレビを占領しちゃうから晩飯を用意するってお礼の意味なんだろうけど、俺はそのお礼にお礼する事になるのか。彼女LOVEだよな俺って。健気な自分にまた微笑んだ。
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