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そうおもって1メートルほど先にあるドアへと身体を翻した。
ところが、ドアに手を掛けた腕を後ろから掴まれた。
「…なにか?」
先ほどの男だ。
「もう帰るのかい?助けてもらった御礼に一杯奢らせてはくれないだろうか」
丁寧な物腰、柔らかい口調に低めのバリトン声。
「いや、あの程度で御礼なんて大袈裟ですよ。
それにぶつかったのは俺のほうですから」
「それでも助かったのは事実だ。
このあと用事でもあるのなら無理にとはいえないが…」
「…特に用事はないですけど」
妙に色気を振りまく男に興味が無いなんて嘘だ。
結局はさっきまで座っていたカウンターに戻って「御礼」をありがたく頂戴することにした。
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