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その大層な店に釣り合いたいとは露ほどもおもわないが、自分の見目が合格ラインかどうかは試してみたくもある。
(まぁ、もし門前払いされたならそれはそれで話のネタにもなることだし。)
なんて。
興味が無いふりして興味がある好奇心、それから下世話な下心を隠すように
多少は服装に気を遣って大人し目のものを選んで出かけた。
大通りからふたつ奥まった小道を抜け、角を曲がると大きな建物が煌めいている。
店に入るとバーテンダーらしき男がわざわざカウンターから出てきて出迎えてくれた。
「おひとりですか?」
「…えぇ。」
見てわかる事をわざと聞いて来ている。
そんな一瞬の足止めの間に値踏みされているような気がする。
(…ナルホド、確かにコレは慇懃無礼だな。)
「カウンターで宜しいですか?」
「えぇ、ひとりですから。」
にこやかな表情を崩さない相手へ笑顔を返すのはマナーだろう。
促がされた席はカウンターの端から二番目という微妙な位置ではあったが、まぁこの店の御眼鏡に適ったことだから気分は悪くない。
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