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夜が明けた頃、眠ることもできずに放心していた俺は、鏡を見て悲鳴を上げた。
昨日、俺の目の前で勝手に作り上げられたアバター。それが現実になった姿が鏡の中に存在していたのだ。
ゲーム画面のアバターがそのまま具現化した姿。ゲーム内で、プレイヤーキャラは喋らないから判らなかったが、今の悲鳴で気づいた。よもや、声まで変わっているとは。
この姿で出社はできないだろう。そもそも、外に出るのも憚られる。人に見られたら云々ではなく、この見た目に気持ちがついていかないから。
とりあえず、放り出したままのゲームをしよう。アバター設定を戻せないか頑張ってみよう。
そう思いながら、俺は、別人のように白く細くなってしまった手…アバターの見た目通り、女そのものになってしまった姿で、
投げ出していたコントローラを手繰り寄せた。
アバター…完
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