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 ジュル、と厭らしい音が聞こえた。手だけでは出し得ない音。クチュクチュと、自分の反り立ったそれが、浩登の口内で唾液を掻き回しているのだと思うと、酷く居た堪れなくもなる。ただそれ以上に、女性の中を味わった事がない真浩にとって、局部を銜えられる感覚は、恐怖さえ覚える程の快感だった。 「や、やっ……ひろと、ん……や、それ……やだっ……」  真浩が声を上げる度に、浩登の動きが深く速くなっていく。同時に胸板に宛がわれた指先は、小さく尖ったそれを甚振っていて。次第に激しく強くなる動きに、ぐらぐらと揺れる頭は真っ白になりつつあった。 「ひっ……あ、あ……や、いき、そ……っ。やめ、て……ひろとっ」  なんど名を呼んでも、浩登からの返事はなくて。返事の代わりに真浩に快楽を与え続ける。嫌だ嫌だと首を振りながらも、浩登の頭に掌を乗せて動きを助長させてしまう真浩には、もう理性なんてものは残ってはいない。  完全に白く染まってしまった頭の中で。うわ言のように、ただ浩登の名を呼んで。  気がついた時には、その口内へと白濁を撒き散らして居た。 「ひ、浩登っ……ごめ、ごめん……ティッシュ、どこ……」  慌てて辺りを見回してティッシュを探すも、ここにそのような生活用品は置かれていない。真浩がその事に気付く前に、浩登は頬についた精液を拭いながら「いいですよ」と笑ってみせたのだ。 「え、おま……俺の、飲ん……」 「飲みました。だから、ティッシュは不要です」 「や、やだ……ごめ、ん。ほんま、……ごめんっ……」  ごしごしと、既に綺麗になった浩登の頬を慌てて袖口で拭ってやる。 「もう付いてません」  まるで何事もなかったかのように笑う浩登に、申し訳なさばかりが募った。
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